【明光義塾】県立高校入試特別講座 第4回「理科」

中学3年生の皆さん、こんにちは。県立入試まであと2か月を切りました。今日は、入試当日の4教科目に受検する教科、「理科」についてお話をしたいと思います。

今年度の県立高校学力検査では、「科学技術と人間」「自然と人間」の単元を除くと発表されています。昨年度の理科は例年通り大問が9つで、小問題が36問。制限時間が45分ですので、大問1つを5分、小問1つを1分余りで解くことになります。大問①は1問1答式問題が8題16点分。大問②~⑨は、物理・化学・生物・地学の各領域から大問2つずつ出題されています。4領域それぞれ小問7問で21点分ずつとなっています。

昨年の「1問1答式」問題は、全問題数の53%弱の19問で50点分ありました。「記号を選択する」問題が11問、「当てはまる語を書く」問題が8問。問題数、配点共に全体の約5割を占めますが、従来は1問1答式問題は約7割でした。出題が減少したとはいえ、1問1答式の知識問題に対しては問題文を読んだら反射的に解答できるように、問題集を繰り返して知識の定着を図りましょう。

残りは、「計算」問題が10問、「作図」問題が3問、「論述」問題が4問です。これらのタイプは大幅に増加しました。一昨年と昨年を比較しますと、配点では37点から50点分に増えています。全国的にみても、計算問題や論述問題の「量の増加」と「質の難化」傾向がみられます。では昨年、正答率が低かった問題を見てみましょう。

まずは計算問題から。大問⑥-3で出題された「あるヒトの体内には血液が4000mLあり、心臓は1分間につき75回拍動し、1回の拍動により右心室と左心室からそれぞれ80mLの心臓が送り出されるものとする。
このとき、体循環により、4000mLの血液が心臓から送り出されるまでに何秒かかるか」という問題は、正答率が33.8%でした。これはまず「体循環」ということなので、右心室から送り出される肺循環の方は除外して考えます。左心室から1分間に送り出される血液量を計算すると、80mL×75回で6000mL。60秒で6000mLですので、何秒で4000mLかを比で求めれば、正解が導き出されます。または、4000mLの血液を送り出すために必要な拍動の回数を計算すると、4000mL÷80mL=50回。75回で60秒ですので、50回拍動するのに何秒かかるかを比で求めるやり方もあります。いずれにしても、体循環の知識と2段階の計算が必要でした。すぐに結論を導くやり方が思いつかない場合は、分かる所から整理して計算してみるとよいでしょう。

大問⑨-1で出題された計算問題「容器Pと容器Qを水が入った水そうに静かに入れたところ、容器Pは水面から3.0cm沈んで静止し、容器Qはすべて沈んだ。このとき、容器Pにはたらく浮力の大きさは何Nか。」も、正答率が低く26.3%。容器Pが水面に浮かんだ状態で静止しているとき、容器Pにはたらく重力と浮力が等しいことが分かれば、実験(1)の表のばねばかりで計測した値を答えればよい問題でした。

記述問題で難しかったのは、大問③-3で出題された「白熱電球に比べてLED電球の方が、電気エネルギーを光エネルギーに変換する効率が高い。その理由について実験(2)(3)からわかることをもとに、簡潔に書きなさい。」という問題で正答率は37.4%。同じ電力量のもと水上で点灯させるという実験で、図3から一定時間後の水の上昇温度は白熱球の方が大きいことが読み取れます。この問題の場合、電気エネルギーは光エネルギーと熱エネルギーに分かれて変換されますが、白熱球の方が多く熱エネルギーに変換して水を温めたことになります。一方、LED電球の方が熱エネルギー変換量が少ないため水の温度上昇が少なく、反対に光エネルギーに変換される量が多く、つまり効率が高くなることが分かります。

理科の大問は全て単元ごとに構成されていますので、ひとつひとつの単元を理解していけばよいという点では対策しやすく、勉強すればしただけ点数がとれると言ってもよいでしょう。1冊の問題集を繰り返す方法がおすすめです。また、過去問題の学習も重要です。過去10年分くらい入試問題をやってみると、「今年はこの単元のこの実験が出そう」という感じも分かって来るからです。いつまでに何を終わらせるか、具体的に計画を立てましょう。入試本番では、「理科」は昼食直後に行われますので、集中力を切らさないようにしなければなりません。これからの約2か月間、適度な運動・睡眠や休息・バランスのとれた食事を心がけて、規則正しい生活をしながら取り組んで下さい。応援しています。