
最初の一音が響いた瞬間から、月夜の物語に引き込まれていきました。
9月15日(月・祝)、あしかがフラワーパークプラザ サロン1で開催された「竹取物語」。
なんと6年ぶりの再演だそうで、開演前から会場には長い列ができ、期待の高さを感じました。
語りと歌を務めたのはソプラノ歌手で声楽家の浅野幸恵さん。ピアノ伴奏は竹松彩乃さんです。
照明がすっと落ち、ドビュッシー「月の光」の切なくも美しい旋律が響くと、物語の幕が開きました。
浅野さんの澄み渡る声で語られるかぐや姫の物語。


竹から生まれた姫が成長し、やがて月へ帰っていく。人の世のはかなさが心に染み入り、会場全体が静かに聴き入っていました。
物語の合間には、その場面に合わせた歌が次々と披露されます。
「優雅な月よ」(イタリア語歌曲)やプッチーニのオペラ『ジャンニ・スキッキ』より「私のいとしいお父様」など、全部で9曲。
透明感のある歌声が会場いっぱいに広がり、まるで月夜に包まれているようでした。
終演後も拍手は鳴りやまず、アンコールでは観客も一緒に「ムーンリバー」と「紅葉」を合唱。
会場がひとつになり、とても温かな空気に。
最後はイタリア民謡「チリビリビン」で締めくくられ、明るいリズムに思わず体が動き出しそうになるほど盛り上がりました。

浅野さんは「今後も語りや歌を交えた、親しみやすい企画を考えていきたいです」と笑顔でお話しされていて、これからの活動もとても楽しみです。
月と音楽に包まれた、忘れられないひとときでした。
●プログラム
月の光
愛燦燦
童神~天の子守唄~
優雅な月よ
私のいとしいお父様オペラ『ジャンニ・スキッキ』より
君がため織る綾錦
白月
つるぎの歌
さよならオペラ「夕焼」より
勿忘草